髪は血餘(けつよ)なり|髪の健康は血の充実がカギ
私たちの髪は、健康のバロメーターとも言われます。東洋医学では、「髪は血餘(けつよ)なり」とされ、髪は体内を巡る血(けつ)の余りによって作られると考えられています。これは、健康な髪を育てるためには、まず体内の血を十分に満たし、その巡りを良くすることが必要であることを示しています。
では、「血餘(けつよ)」とは一体何なのでしょうか?
血餘(けつよ)とは?髪を育てる「余り」の力
「血餘(けつよ)」とは、体内で必要な臓腑や組織に血(けつ)が行き渡った後に、なお余った血が髪に栄養を与える、という考え方です。つまり、血が十分にあり、それがスムーズに巡ってこそ、美しく健康な髪が育つのです。
髪は、体にとって生命維持に直接関わる器官ではありません。そのため、血が不足すると、まず臓器や筋肉などの重要な部分に優先的に栄養が送られ、髪には回ってこなくなります。結果として、髪は栄養不足となり、抜け毛・白髪・パサつき・細毛といったトラブルが生じやすくなります。
反対に、体に十分な血があり、それが滞りなく巡っていると、髪には「余った血」が行き届き、自然とツヤやコシのある美しい髪が育ちます。
このことから、東洋医学では、「美しい髪は、血の充実と健康な巡りの証」であると考えられてきました。

血(けつ)とは?髪を育てる生命エネルギー
東洋医学における「血(けつ)」は、西洋医学でいう血液とは異なり、血液そのものだけでなく、血液に含まれる栄養素やホルモン、血流の状態までを含む概念です。
血の主な働き
- 営養作用(全身の組織や器官に栄養を供給する)
- 滋潤作用(髪や肌を潤わせ、ツヤを与える)
- 寧静作用(精神を安定させる)
漢方では、「気(き)・血(けつ)・水(すい)」の3つが体を構成する重要な要素とされ、血は気から生まれ、気の巡りが良ければ血も巡ると考えられています。

女性と血の関係
女性は「女子以血為本(女性は血をもって本となす)」といわれ、特に血と関わりが深く、一番影響を受けやすいと考えられます。血が体内で十分に満たされていると、全身が温かくなり、肌も潤い、内面からの美しさが表れます。血には精神を安定させる働きもあるため、血が十分に巡ることで、心の安定や快眠にもつながります。
また血餘と腎精が充実していると更年期障害を引き起こしにくくなり、老化のスピードを遅らせることができると言われています。

反対に、血の巡りが悪くなると「瘀血(おけつ)」、血が不足すると「血虚(けっきょ)」と呼ばれる状態になり、さまざまな不調が現れます。
瘀血(おけつ) – 血の巡りが悪いと…
- シミやそばかすが目立つ
- 頭皮の血行が悪くなる
- 肩こりや頭痛がひどくなる
- 便秘や冷えを感じやすい
瘀血(おけつ)の状態では、血流が滞ることで髪への栄養供給が不足し、抜け毛が増えやすくなります。
血虚(けっきょ) – 血が不足すると…
- 顔色が悪い
- 髪が細く、抜け毛が増える
- 髪がパサつき、ツヤがなくなる
- 目のかすみやドライアイ
- 月経不順
血虚になると、髪の成長に必要な栄養が行き届かず、抜け毛や白髪の増加、頭皮の乾燥、薄毛といった問題が起こりやすくなります。

東洋医学の知恵がヘアケアに必要な理由
現代のヘアケアは、シャンプーやトリートメントなどの外側からのアプローチが中心ですが、本当に健康な髪を育てるには、内側からのケアが不可欠です。
髪は「血餘(けつよ)」によって養われるという東洋医学の考え方は、「髪の美しさは、体の健康状態を映し出す鏡」であることを示しています。
いくら外側から高級なヘアケア製品を使っても、体内の血が不足していれば、髪に十分な栄養が届かず、根本的な改善にはつながりません。
だからこそ、東洋医学の知恵を取り入れ、血を満たし、その巡りを整えることが、美しい髪を育てるための本質的なアプローチなのです。
実は、私自身が昔から髪が細く、ダメージしやすい髪で、40代に入ってからは薄毛が気になっていました。子供の頃から貧血で、それがデフォルトなので特に気にもしていなかったのですが…。たくさんのお客様の髪に触れるたび、髪質の似ている方に伺うと、ほぼ百発百中で『貧血』でした。
シャンプーだけで絡むほどの細毛でトリートメント重視でしたが、貧血を改善するように心がけるようになり、今では10年前より薄毛が気にならなくなりました!
女性は特に毎月の生理で」『血』を失います。
髪を育むためには、まず自分の「血」の状態に目を向け、体の内側からケアすることが大切です。
東洋医学の知恵を活かし、血を充実させることで、健やかで美しい髪を手に入れましょう♪

最後までお読みいただきありがとうございます。